バーゼルVは、バーゼルUの改訂版です。バーゼルVでは、銀行の自己資本の量と質の見直しが行われました。量では自己資本比率の引き上げ(8%以上)を、質では「Tier1(中核的自己資本)」と呼ばれる普通株式と内部留保(稼得した処分可能な純利益のうち,分配せずに留保したもの)など、資本性の高いものを実質7%以上保有することを義務付けています。
バーゼルVでは、自己資本を「コアTier1(狭義の中核的自己資本)」、「Tier1(中核的自己資本)」、「総資本」の3段階に分け、それぞれの比率を2013年から段階的に引き上げて、最終的には4.5%、6%、8%の最低基準を満たすと同時に、2016年以降は将来のストレス期に耐え得るよう2.5%の資本保全バッファーの導入を盛り込んでいます。2019年からは全面的に適用される予定となっています(→「2022年からの適用」に変更されました)。
2017年12月、バーゼルVが最終合意されました。それまで、自己資本比率の分母となるリスク資産(危険資産)の算出方法について、米国と日欧の主張が対立していました。米国は厳格な算定を主張し、標準的手法の80%、日欧はそれに反発し70%を主張していましたが、最終的に日欧寄りの「72.5%」で決着。日欧が低い水準を主張していたのは、高くなると、それまでリスクでなかったものがリスクとして判定されるため、低めの水準で決着されたことで、邦銀は追加資本を回避できそうです。
加えて、株式や債券の一部などのリスクウェート増加で合意されました。銀行が株式や債券に投資をする場合、それはリスク資産ですので、それを管理しなければなりません。これまで株式や債券は、概ね100%のリスクウェートがかかっていましたが、それが変更されました。それらの内容は以下です。
リスクウェートが変更、すなわち上記の通り引き上げられました。これらは、銀行が株式や債券に投資しにくくなったことを示しています。バーゼルVは、2027年までに段階的に適用されます。また、バーゼルVは、「2022年からの適用」に変更されました。
2020年3月27日、バーゼル銀行監督委員会は、2017年に決まったバーゼルVの本格実施を新型コロナウイルスの感染が広がり、世界経済の急激な落ち込みが避けられない情勢となっているため1年延期すると発表しました。
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